梶谷直樹さんは、岡山県倉敷市にオープンして5年目になるcut space Healing(ヒーリング)のオーナー。独立2年目に難病ALSを発症し、日々、自由が奪われていく苦悩葛藤の中で、妻やスタッフに支えられ、前向きにチャレンジを続けています。
今年(2021年)12月には、デイサービスの介護事業もスタートするとのことです。

cut space Healingは「早い、やすい、きれい」が売り。
カット1620円、60歳以上はここから500円引きでスタートし、3年後にカット1760円、5年後に1900円と、計画通りに値上げをしてきました。
席数は7席で、現在、月の利用客数は1200人ほど。新規客は平均20人、多い時で60人。
カットの時間は一人10分、速さがあるので採算がとれます。

当初から女性用のメニューも入れていましたが、女性の髪を切ることには不安もあって、値段は高め設定に。それでも高齢女性の利用がありました。
刈り上げは得意。高齢女性は短い髪にしている人が多いのでちょうどよかったとのこと。
今は店長が美容師で、見習いもいるので、女性客も大歓迎。2割弱が女性客です。

低料金なればこそ、接客は料金の高いお店以上にしているそう。
「お見送り」は特に徹底して、会計後、扉を開けて差し上げて、ドアの外でお客様が見えなくなるまで送ります。直後に「ありがとうございました」と1回、見えなくなる手前でもう1回、丁寧にお辞儀をします。振り返って手を振るお客様もいるからです。

実はこの「お見送り」を提案したのは、以前はエステ業界で働いていた妻。
お店にも立ちながら理容師資格を取得して、夫を支えています。二人の子どもを育て、夫の介護もこなし、お店にも立ってと八面六臂の大活躍。接客もずば抜けています。
梶谷さん自身は当初、「そこまでする必要ある?」と懐疑的だったそうですが、やってみたら、最高の宣伝パフォーマンスになっているとのこと。
駐車場が広く、通り沿いにある新築物件できれいなこともあり、通りすがりの車からお見送りの姿を見て来店するお客様が相当数いるのです。

梶谷さんは、cut space Healingの経営を続けながら、訪問介護事業を立ち上げて、自身の介護を自身の会社でしようという構想を持っています。
手始めに、デイサービス事業をcut space Healingの裏手で12月にオープン予定。
駐車スペースやレクリエーションに野菜作りができる畑を近所の人々に提供してもらうなど協力しながら、地域事業に育てていこうとしています。

<取材協力>
cut space Healingヒーリング(岡山県倉敷市)
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