黒田登美子さんは、富山県富山市で美容室Hair & Beauty TipsとHIRO Grand jeteを運営する有限会社ふれあいのひろばの2代目です。東京の大手企業等で働いたのち、美容師であり経営者である母親・弘子さんの要請もあってIターン。母親が築き上げてきた美容室に経営面の補佐をする立場で入社し、事業を承継しています。
弘子さんは、お客様を本質的にきれいにしたいという思いから、商材選びにもこだわり、地元で愛される美容室作りで、3店舗にまで拡大していました。
男性美容師を採用することもあったそうですが、なかなか定着せず、結果的に女性スタッフだけの美容室になっていたと登美子さん。
登美子さんは、これを美容室の魅力の一つと捉え、母親が成し遂げてきたように、女性たちが仕事を通して自立し、自身を表現していく場にしたいと考えています。
しかし、事業承継は簡単ではありませんでした。美容師として叩き上げてきた母親と、美容師資格は持たず、現場を見ることはあっても経験したことのない立場の登美子さんでは、世代も違えば、状況評価も異なります。
母娘の遠慮のない会話の果てにぶつかることもたびたびあったそうですが、登美子さんが本格的に経営補佐に入ると、母親はお金の管理をポンと任せてくれたのでした。
月に一度の店長会議も弘子さんは参加せず、登美子さんが主催するようになるなど、次第に主導権を委譲していきました。
登美子さんは、母親の決断に応えるために年間売上を下げないことを第一にしながら、スタッフの待遇改善など、美容室を新しい体制へ導こうと奮闘。
「私は現場では役立たず。スタッフのみんながいて、私がいる。二人三脚で方向性を示すのが私の役割」と登美子さん。
現場第一のカリスマ美容師としてスタッフを牽引してきた母親とは立場を変え、スタッフの意見を引き出す雰囲気づくりを重視しながら経営の舵取りをしています。
<取材協力>
Hair & Beauty Tips
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HIRO Grand jete
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