愛知県春日井市の「アンジェリカ」は、結婚しても、子どもができても働ける職場としてスタッフが定着している美容室。女性スタッフだけの店になったのをきっかけに、月曜定休(正社員:月2回土日祝休み)で営業時間は9時―17時と思い切った営業形態にして、安定した状態をつくり出しています。オーナーの綱瀬伸子さんに話を聞きました。
綱瀬さんは、当時、美容師をしていた姉から「やりがいのある仕事」という話を聞いたことがきっかけで、美容師になったそう。高校卒業を控えて進路はどうする?となったときに、「求人はいくらもあったけれど、同級生と採用・不採用の明暗を分けるのが嫌だった」というくらいに穏やかなタイプです。

美容室に、新卒採用の同期4人で住み込み就職し、通信教育で資格を取得。悩みがあっても相談できる仲間がいる修学旅行の延長のような生活だったとか。
オーナーにも可愛がられて16年ほど経った頃に、父親が心臓を悪くして入院。
それまで特に独立を考えていたわけではなかったそうですが、家の近くで、いつでも父親の面倒がみられる状況にしたいと独立を決意しました。

1997年に、27坪にセット面5面の美容室ah!をオープン。以来、5年間は売上も年々上がり好調だったそうです。
そこで、2011年に、45坪にセット面8面、保育室兼着付けルームのある店に拡大移転して、店名も現在の「アンジェリカ」としました。
レセプションのパートスタッフを1名、保育士1名、新卒2名を(内定)採用して、第2ステージへと進んだのです。

しかし、増えた人件費負担をすぐに回収できるわけではありません。
10月オープンで、10月・11月・12月は売上好調期でなんとかなったものの、翌年1、2月は赤字。借り入れもして、売上も上がらず、「悲壮感が漂っていたと思う」と綱瀬さん。
一人で頑張ってどうなるものでもなく、スタッフに頼ることを知る体験になったそうです。

<取材協力>
アンジェリカ(愛知県春日井市)
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