大学卒業後、母が経営する美容室へ入社。働きながら通信制の美容師専門学校へ通い、美容師免許を取得。30歳でイタリアへ留学し、帰国後に新店舗をオープンさせる。2011年、イタリア人男性と結婚。ミラノ店のオープンと同時に、イタリアへ移住。コロナ禍に帰国し、統括マネージャーとして人事・教育・集客・接客とあらゆる領域で精力的に活動している。現在、国内13店舗・海外2店舗でベルファミリーグループのサロンを展開中。

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体育教員の夢を断念し、母と同じ美容師の道へ。

体育教員を目指して体育大学に入学したが、生涯働ける仕事がしたいと考えるようになり、美容師の道を選んだ。
「SPCでがんばっている母の姿をずっと見てきたので、美容師なら一生楽しく働けると思ったのです」
大学卒業後、母が経営する美容室『ファンタスティックサム(現Pure 狭山店)』で働きながら通信制の美容専門学校に通い、美容師免許を取得した。「人生100年時代に、好きなこと・楽しいことを仕事にできていることがうれしくて。美容師になって良かったと改めて感じましたね」

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留学先で夫ニコラと出会い、新店舗を次々にオープン!

30歳の時、イタリア・フィレンツェへ留学。留学の目的は、海外に店舗を出したかったから。これは、大学時代からの夢でもあった。「留学先は当初ニューヨークの予定だったのですが、一度出張に行った際に現地を見て諦めました。街が完成されすぎていたんです。ヘアサロンもたくさんあるし、新たに店舗を出すのは少しハードルが高いかなと思ってしまって。ヨーロッパならイタリアかなと、直感で決めました。食べ物もおいしいですしね(笑)」
1年半をフィレンツェで過ごし、帰国後に『PRIMO 狭山店』をオープン。白を基調にしたイタリアンライクな内装にこだわった。「PRIMOはイタリア語で“一番”という意味があります。地域で一番の美容室になる、という意気込みでスタートしました」
2011年、留学先で知り合ったイタリア人男性・ニコラと結婚。「ちょうど東日本大震災が起こった年です。日本中のマインドが落ち込んでいる中、上を向いてがんばろうと夫と励まし合いました」
その後、イタリア・ミラノに念願の海外店舗をオープン。夫と共にイタリアへ移住し、コロナ禍の2020年に帰国のち、日本にて新たなブランド「Felice&spa ドライヘッドスパ専門店 Dormoドルモ」を2店舗オープンさせる。

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SPCとの深い縁に導かれて入会。急速に店舗数を拡大!

SPCに入会したのは、2012年のこと。「母が古くから正会員として活動していて、私も室長やメンバーさんと面識があったので、家族会員での入会は自然な流れだったように思います。実は、母が若い頃勤めていた美容室がSPC関係者(元理事長)のお店で、後にその店舗を譲っていただいて独立したという経緯があるんです。だから、今のベルファミリーグループがあるのはSPCのおかげなんですよ」
入会後は、新人研修やセミナーで美容師としての知識や技術を磨いた。どちらかというと体育会系の組織体制に最初は少し戸惑ったが、体育大学出身の自身のスタンスには合致した。「SPCには厳しくも心ある先輩方がたくさんいて、教えていただいたことを素直に受け止めて実践すれば必ず売上アップにつながります。何よりも、室長の理念や姿勢がすばらしくて、言われた言葉がスッと心に入ってくるんです。いろんな意味で、私を成長させてくれた方ですね」
こうしてベルファミリーグループは急速に店舗数を増やし、すべての店舗で売上を伸ばしていった。

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トップがいなくてもサロンが回る“4班制システム”を導入。

店舗数拡大の要となったのは、SPC第17代理事長・松薗芳子が考案した“4班制システム”だ。これは、美容室を組織として機能させる仕組みである。

①動員班(attack is money):客の動員のためWEB、SNSで集客をかける役割
②接客班(smile is money):技術とサービスで客をもてなす役割
③教育班(time is money):美容技術の向上を図る役割
④材料班(save is money):必要な材料を調達する役割

新人は適性を見たうえで4班のいずれかに配属。各サロンの店長も4つの班に分かれ、店長会議で班ごとに向上を図っていく。新人のうちから役割を与えることで、1人ひとりの責任感や自覚を養うことができ、スタッフの定着率やサロンのクオリティアップに絶大な効果をあげられるというものだ。「店舗の立ち上げから運営まで、ほとんどの領域を任されていた統括マネージャーの立場から、トップがいなくてもサロンが回る4班制を活用できたことは本当に大きかったですね」

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“お客様がまた来たくなるサロンづくり”が成功の鍵だった!

もちろん、店舗を増やすことに成功したのは4班制導入だけが要因ではない。「私たちは常に、“お客様がまた来たくなるサロンづくり”を徹底しています。たとえば、新規のお客様が来店した際にはスタッフ全員でお声がけをしたり、次回予約で30%OFFにしたり。お客様にとって、楽しく心地いい空間を作り出すことが重要だと考えています。お客様が笑顔になれば、スタッフも嬉しくなる。ハッピーが連鎖していくんです」
ベルファミリーグループの理念には、“共に育ち、共に豊かに、共に幸福を 〜より多くの人々と〜”という言葉がある。「イタリア語で言うと『Crescere insieme stare bene insieme essere felice insieme con tutti(エッセレフェリチェインシエメ スターレットベーネインシエメ エッセレフェリチェインインシエメ コントゥティ)』。いい言葉でしょう」
母が一人でやっていた頃から、その理念は変わっていない。

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これからも、世界中の人々をニコニコ・ワクワクにしたい。

フィフティーフィフティーの理美容の世界は、魔法の鏡のようなもの。鏡の一面は経営者、もう一面はスタッフだという。「鏡の中には美容室の成長と利益が映ります。中央には“フィフティーフィフティー”と書かれていて、経営者とスタッフが収益を公平に分け合うポイントになります。経営者はサロンを繁栄させ、スタッフは魔法の手さばきでお客様を美しく変身させる。この時“フィフティーフィフティー”は魔法のラインで結ばれ、収益が均等に分かれます。均等な収益の分配は、経営者とスタッフの間に信頼とモチベーションを育む魔法の要素なんです。経営者はサロンの成功を享受し、スタッフは美容師としての仕事に情熱を注ぎ、お客様は魔法のサイクルによって美しさと自信を手に入れる。協力と公平さが利益を生み出すことでサロンは繁栄し、スタッフはワクワク感を抱き、美しい魔法が続いていく。私はそう考えています」
そんな彼女の座右の銘は、“世界中の人をニコニコ・ワクワクにすること”。日本に、海外に、ハッピーの連鎖を起こすベルファミリーグループの躍進はまだまだ終わらない。

鈴木 尋子

INTERVIEW DATA

代表
上田 秀文
創業
1998年4月
店舗数
12店舗
スタッフ数
88名
本社所在地
埼玉県狭山市富士見1-1-7 丸喜ビル4F