1985年7月21日、愛知県名古屋市生まれ。高校2年生で美容室のアルバイトを始め、在学中に通信制の美容専門学校へ入学。卒業後、美容師として約6年間修行を積んだ後、広告業界へ転職。その後、夜間のみ面貸しサロンで美容師活動を再開。2010年に独立開業。2013年『alfRed 桜本町店』をオープン。2017年に法人化。現在は、男性専門美容室『alfRed 瑞穂店』『alfRed 平針店』を含む3店舗を運営している。

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高校2年で美容師の世界へ飛び込み、突然の転職!

美容師の道へ進むことを志したのは高校時代。高校2年の春から始めた美容室のアルバイトがきっかけだ。「もともと美容師に興味があったので、とにかく現場で働いてみようと思い立ちまして。高校生の僕はすでに生き急いでいたので、少しでも早く自分の進路を決めたかったんです」
美容室のバイトは楽しくてやりがいがあって、美容師は自分に向いていると感じた。その後、オーナーの勧めで在学中に通信制の美容専門学校へ入学。高校卒業後はそのままバイト先に就職し、美容師免許を取得。6年間の修行を積んだ。
しかし24歳の頃、美容師をやめて突然の転職。「もちろん美容師の仕事には誇りを持っていましたが、労働環境と収入の問題にぶち当たってしまって」
当時の美容師は他業種と比べて平均年収が低く、長時間労働を強いられることも多かった。社会保険に加入している美容室もまだまだ少なかった頃だ。

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広告業界に身を置きながら、美容業界を憂う日々。

「僕も若かったので、高校の同級生たちがいい給料をもらっていい暮らしをしているのを知って、悔しかったのも理由の一つです。このままだと先が見えない、好きだけじゃやってられないと思ってしまった」
転職先は広告代理店。驚いたのは、営業マンとして働き出して1ヶ月目の月収が、美容師の頃の月収をあっさり超えたこと。2ヶ月目は歩合がついて、さらにアップした。「収入が増えたのはありがたかったのですが、高校時代から美容師としてキャリアを積み重ねてきたあの8年間は何だったんだろうって、悲しくなりましたね」
広告業界に身を置きながら、美容師の現状を悶々と考えているうちに、気づけば『美容業界をなんとかしなければ』という使命感のような感情が芽生えていた。
転職して半年が過ぎた頃、美容師時代のお客様や友人から立て続けに『髪を切ってほしい』という連絡があった。「これは素直に嬉しかったですね。美容師の僕を求めている人たちのためにできることはないかと模索した結果、夜間だけ面貸しスペースで美容室を始めることにしたんです」

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息子の誕生と自身の大病を機に、業界の改革を決意!

こうしてゆるやかにスタートした面貸しの夜型サロン。日中は広告の営業マン、夜は美容師という二足のわらじ生活が始まった。「当時は深夜24時まで営業している美容室が珍しかったので、“深夜24時まで営業の男性専門の美容室”という訴求でチラシを作ったり。口コミでも少しずつお客様が増えて、やがて収益化できるようになりました」
2年後の2013年、面貸しの美容室をやめて1店舗目となる『alfRed 桜本町店』をオープン。「この頃はメンズ専門店はほとんどなく、メンズ1本でやっていく自信がなかったので、“深夜24時まで営業している美容室”という形だけ残すことで順調に売り上げを伸ばすことができました」
それでもスタッフの労働環境や収入のことを考えると、まだまだ美容業界に対して悲観的な考えを持っていた。「2015年に長男が生まれたのですが、自分の息子だけは美容師にさせたくないと強く思っていました。僕が大きな病気にかかるまでは」
ある時大病を患ってしまったことで、息子への思いが180度変わった。「もしかしたら僕は明日死ぬかもしれないのに、なんてつまらない考え方をしていたんだろう。息子にも、自分が誇りを持って続けてきた美容師の楽しさややりがいを伝えたい!だからこの業界を絶対に変えてやるんだ。そう考えるようになったんです」

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SPCの価値を実感!一方で非効率なやり方に疑問も

「業界を変えるためには何よりも自社の成功が先決だと考え、経営についてがむしゃらに勉強しました。美容組合にも加入したのですが、求めている情報がなかなか得られなくて。そんなある日、知人から『齋藤さんはSPCに入ったらいいと思うよ』と誘われて、SPCの会合に参加したんです。すぐにでも経営について勉強したかったので、SPCがどんな組織かを把握しきれないまま、その日のうちに入会しました」
2店舗目となる『alfRed瑞穂店』をオープンして3ヶ月後のことだ。「僕は勉強したい一心で、セミナーを受けたり先輩の話を聞いたり、とにかく必死でした。SPCにはすごい実績を持つ先輩経営者がたくさんいて、その方たちと触れ合えるだけでも価値があると感じました」
一方で、SPCの昔ながらの組織づくりに疑問を感じていた。「理念唱和や組織活動報告、長い会議など、“やり方”ではなく“在り方”の勉強が中心で、なぜこんなに非効率なことに時間をかけているんだろう。もっと他にやるべきことがあるのでは、と本気で思ってしまっていたのです。今思えば、完全に間違った考えでした。僕は若くして経営者になって、売上も順調で、周りから『すごいね』とチヤホヤされて天狗になってしまっていたのかもしれません」

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先輩方の直球のアドバイスが、行動力につながった!

「結果的に、SPCの存在が僕を救ってくれたんです。悩みや不安を漏らすたび、ガツンと厳しい言葉で諭してくれる先輩や、『これやったか?』『あれどうなった?』といちいち気にかけてくれる先輩たちのおかげで、行動できたことがたくさんあります」
さらに転機となったのは、創業当初から約12年間活動を共にしてきた相方との関係。「売上や方向性のことでお互いに不満が溜まっていて、何度もぶつかって一度決別寸前までいきました。そんな相方のことを、ある先輩に愚痴ってしまったことがあって。『ちゃんとコミュニケーション取れてる?ちゃんと会って本音で話せてる?』そう聞かれて何も言えませんでした」
その後、相方と話す機会を積極的に作って本音を伝え合ったことで、以前よりもいい関係を築くことができた。会社が成長していく未来が見えたのも、このタイミングだ。
「そういえば、はるか彼方を歩いている大先輩たちが何十年も前から美容業界の改革に取り組んできたことを知った時は、打ちのめされました。そりゃ僕なんて、まだまだですよね」

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“美容師ファースト”で、美容業界の改革を!

2022年、平針店をオープン。店舗やスタッフの数が増えてくると組織力が重要になる。朝礼や個人面談など、SPCが実践し続けてきた“非効率なコミュニケーション”が生きてくるのだ。「売上を上げるためには効率化も大事だけれど、生産性の悪い“余白”の部分にこそ、会社の成長につながるヒントがあると気づきました」
(株)alfRunでは、“すべては美容師のために”という経営理念を掲げている。「お客様に喜んでいただくためには、まず“美容師ファースト”でなければならない。一緒に働くスタッフたちには、労働環境や収入面で苦しんできた自分たちのような思いはさせたくないんです」
スタッフがやりがいを持って働ける環境で、労働に見合うだけの収入を保証してあげたい。「稼ぐ喜びも感じて欲しい。お金の勉強もスタッフ教育の一つです。美容師の地位向上のためにも、待遇面のアップは欠かせません」
「僕の夢は、4人いる子どもたちが美容師に憧れる業界にすること。そんな親父の背中を見せたいんです」美容師としての誇りを胸に、深夜の面貸しサロンから這い上がってきた若き経営者は今、美容業界の改革を見据えたさらなる高みを目指す。

齋藤 誉士

INTERVIEW DATA

代表
齋藤 誉士
創業
2010年11月
店舗数
3店舗
スタッフ数
10名
本社所在地
名古屋市南区桜台1-14-20 パル松井1F